header_info.jpg 高知県立のいち動物公園
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1歳の誕生日をむかえるまで

*はじめに
*生後日数0日の日記

*人工哺育について考える

*1歳の誕生日をむかえるまで

*2歳の誕生日をむかえるまで

*食べる


 ミルキーの母子同居を断念し人工哺育の継続を決断してからしばらくして、ミルキーの異変に気づきました。日常の動作や目の動きがおかしい、視線が合わないなどといった状況から何らかの問題ががあるのでは?と疑いはじめました。 そこで、ヒトとチンパンジーの比較発達研究の専門家である滋賀県立大学・竹下秀子教授のご協力を得て生後120日から毎月1回発達検査を実施しました。その結果、脳性麻痺により障害があるというものでした。生まれてすぐの赤ちゃんは母親に支えられながらも自力で母親の体にしがみつきます。しかし、ミルキーは上手く抱きつくことができませんでした。生後120日ともなれば、通常のチンパンジーの赤ちゃんは四足歩行ができるようになり活発に運動し出す頃です。しかし、ミルキーはまだ仰向けからうつ伏せになる寝返りもできませんでした。運動、認知ともに発達の遅れが見られました。

                                                    

(生後1ヶ月 支えていないと抱きついていられない)                (抱っこして作業)

 

 そうした状態を少しでも改善するべく日常的な運動のサポートするとともに、生まれてからずっと母親と一緒に暮らすチンパンジーの赤ちゃんの状況に近づけようと出来るだけ抱いて作業をするようにしました。時には事務所でのデスクワークも共にしました。発声時の応答や適時の声かけ、アイコンタクトも心がけました。チンパンジーの赤ちゃんは母親と目と目を合わせ社会的なつながりを持ちます。仲間と暮らす中で五感を通して様々な経験を積んで成長するからです。ミルキーにとっては私たち飼育係とのくらしが全てなので刺激のバリエーションを増やしていきました。
麻痺のある部分をマッサージして刺激を与える。赤ちゃん体操や寝返り運動の練習などを継続しました。生後90日に保育器からケージへ移りました。取り付けたロープにつかまらせてあげると姿勢を保持することは出来ましたが、まだ自力でつかまり立ちすことは出来ませんでした。

         

(生後90日)          (生後180日 自力で体を起こす。)    (生後219日 格子をよじ登る。)

 

生後160日頃からケージの格子につかまっての上体起こしや寝返りが出来るようにりました。ケージの中につかまり立ち用のタオルやロープを設置したり、生活スペースを広げたり、成長に合わせて生活環境を変えていくことで新しい動きが見られるようになりました。生後220日頃には姿勢をまっすぐ維持できるようになり、つかまり立ち、ケージのフェンスを登ろうとする動きも見られるようになりました。生後308日には手狭になったケージから更に広く高さのあるものに移りました。運動の種類が増えて活動的になると自然と筋力もつき、麻痺した手足の動きも上達しました。日々の働きかけが着実に効果を上げているのかと実感できる変化でした。

  

(成長に合わせてゲージの大きさを変えました。)                 (赤ちゃん体操)

   

(生後5ヶ月の比較 左:サクラ 右:ミルキー)                    (生後316日)

発達は遅く通常のチンパンジーの赤ちゃんとの差は開く一方ですが正しい方向、あるべき方向にゆっくり成長しています。ミルキーは1歳の誕生日をむかえました。 

 

1歳になりました!

 

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