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ブチハイエナの飼育日記 双子編|生後日数7までの日記
*生後日数14までの日記
*生後日数7までの日記

苦渋の決断 8月27日 生後日数7

ショウが元気を無くしてしまいました。

 

15:00、2回目の哺乳の時ショウが震えていました。

夏ですが、寝室の床暖房やヒーターをONにして、エナのもとに戻し少し様子を見ることにしました。

エナもショウの様子が違うことがわかっているようで、舐めたり抱くように前脚で挟んだりした後、隣に寄り添って寝ました。

元気なダイに対する扱いはザッとしています。

 

17:00頃、ショウは回復が見られず、丸くなって震えているため、エナと分けて病院の保育器に移しました。

ダイも一緒に病院に連れてきました。

頭だけを一晩別にし、翌日戻すと攻撃の対象になるかも知れない可能性があったためです。

もし治療をして明日ショウが元気に戻っていた場合、差がつかないように2頭一緒に戻そうと考えました。

 

しかし翌日もショウは元気がないままでした。

ショウは、現状では治療が必要で人工哺育にするしかありません。

ダイをどうするか、ショウが少しでもハイエナらしく育つには、母親がいなくてもダイがいればマシかも知れません。

2頭ともエナに戻さず人工哺育にする方法も考えられました。

しかし子どもを受け入れる意志のあるエナから子どもを取り上げることやダイの今後のことを考え、ダイはエナのもとに戻すことにしました。

保育機内のショウ

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一緒にした直後エナはダイを確認すると、その後はダイにあまり関心を示さず、しばらくもう1頭を探すような行動を見せました。ダイも警戒しているようでエナとの間には距離がありました。

 

しかし夜間のビデオでこの日初めて、エナからごく短い時間でしたがダイへの授乳が見られました。

またこの頃からエナは少しではありますが、マウスなどのエサを食べるようになりました。

再縫合 8月25日 生後日数5

エナの傷が開いてしまいました。

 

この前日から、帝王切開したお腹の傷が少し開いていたのですが、この日午後に大きく開いてしまい再縫合することになりました。

表面に出ている糸を自分で噛み切ってしまい傷が開いてしまっているようなので、今回は表面に糸が出ないような方法で縫いました。

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術後、エナの麻酔が覚める前に子ども達をエナの乳頭に押しつけて、乳首の場所を教えました。

2頭は初めは嫌がり激しく鳴いていましたが、一度吸い付くと一心不乱に吸っていました。

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その夜はエナがまだ麻酔からしっかり回復していなかったので、子ども達とは分かれて過ごしましたが、夜しきりに隣の部屋にいる子ども達のことを気にしていました。

 

翌朝、エナと子ども達を一緒にしましたが、この時もエナは前回と同じように受け入れてくれました。

子ども達は昨日、乳頭に押しつけたことで、的確に狙うことができるようになっていましたが、エナは授乳しませんでした。

食べないエナ 8月23日 生後日数3

エナがエサを食べていません。

 

術前から食欲がなかったのでもう10日近くほとんど食べていません。

体力回復やおっぱいが出なくなってしまうなど栄養面の心配もありましたが、術後で感染症を予防するためにエサに薬を入れて与えたいのですが、食べないことには投薬もできません。

薬の入っていない物も食べません。

手術の傷が大きいので深刻です。

哺乳 8月21日 生後日数2

エナはやはり乳頭に吸い付かれるのを嫌がります。

 

子ども達には1日2回、猫用のミルクを哺乳することにしました。

哺乳はカテーテルで胃に直接送り込む方法で行います。

カテーテルでの哺乳は、管を胃まで入れるため子ども達にとって楽な方法ではありません。

それでもこの方法で哺乳を行ったのには理由があります。

ヒトがおいしい思いをさせてくれると子ども達に思わせないため、ヒトになれてしまわないためです。

ブチハイエナ(特にエナ)の授乳は子どもの強い要求によって成立しています。

エナではなくヒトに授乳を要求するようになれば、エナはますます授乳しなくなってしまうことが考えられました。

極端なことを言うと「ヒトに捕まると苦しい思いをする。頼るべきは母親。」と感じて欲しかったからです。

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1日2回という回数も実はこの時期の子ども達には十分ではありません。

しかしこれも子ども達にしっかり授乳の要求をしてもらいたかったためです。

常にお腹いっぱいにしてしまえばエナからの授乳の必要は無くなってしまいます。

もう一つの理由は、前にも書いたようにブチハイエナの母親はヒトの関与に敏感です。

哺乳のために1日に何回も母子を分離することは、関係作りに悪影響だと考えられました。

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このため子ども達はいつも空腹で鳴いていましたし、エナの乳頭を懸命に探していました。

今のことだけを考えれば、取り上げて人工哺育にすることは簡単でしたが、子どもの体力の続く限りエナが授乳してくれる可能性にかけることにしました。

そのため24時間ビデオを回し、授乳の瞬間を見逃さないように観察を続けました。
エナ、どうかお願いだ 8月21日 生後日数1

帝王切開から一夜明けました。


子ども達は元気です。

エナもまだしんどそうではありますが起きあがり、昨日よりはずっと良さそうです。
子ども達はエナに戻してみることにしました。
これはかなり難しい決断でした。野生動物は子どもに人間の臭いが付くと子育てをしなくなってしまうことがあります。

またブチハイエナでは1ヵ月以上育ててきたような子どもでも、ヒトが何らかの関与をすることで殺してしまう例が多くあります。

ましてエナは帝王切開、自分で子どもを産んだ覚えはありません。一緒にした途端に攻撃される可能性も考えられました。

しかし群れで暮らすブチハイエナにとって親に育てられ、ブチハイエナらしく育つことが重要だということで職員の意見は一致し、エナの母性にかけることにしました。


できるだけヒトの気配を消すため、子ども達に昨日の手術で取って置いた胎盤の血を塗り胎盤と一緒に寝室に置いて「今まさに産まれたんですよ」という状況を作りました。
エナは子ども達のいる寝室に入ると念入りに臭いを嗅いでいました。「頼むから咬まないで」と祈るような思いでしたが、エナが子ども達を攻撃することはありませんでした。

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しかしすぐ「我が子」という気持ちにはやはりなれないようで、トーフの時とは違い授乳はみられませんでした。
それでもエナが子ども達の存在を受け入れてくれたことは本当に嬉しいことでした。
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帝王切開 8月20日 生後日数0

エナの陰部から出血してしまいました。


8月19日、大量ではありませんが、ポタポタと出血し続けています。午後には出血が少なくなりましたが、翌日にはまた出血していました。

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陣痛促進剤を注射してみましたが、陣痛は来ません。
胎盤剥離の可能性があるのでエナの体を最優先に考え帝王切開で子どもを取り出すことにしました。
当園では帝王切開の例がなかったため南国市の佐野獣医科病院の獣医さんに手伝いに来ていただき手術を行いました。

子どもが大きく、2頭だったため子宮を取り出すのにエナの腹部を30cmほど切らなければなりませんでした。
子どもはダメかもしれないと思っていましたが、取り出された子ども達は動いていました。2頭とも血色がよくありませんでしたが、お湯で洗いマッサージをしているうちに口や舌に赤みが戻りました。

エナの麻酔がへその緒から子どもにも効いてしまっていたため、子どもはいわゆるスリーピングベイビーの状態でしたが、3時間後には頭を上げて動きだしました。

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そして動いたと思った途端にお互いに咬みつき合い、ものすごい形相で闘争し始めました。

ケンカではなく完全に闘犬・・・もとい闘争です。

「ブチハイエナの兄弟は産まれた途端にライバルで競い戦い始める」という文献をみた事はありましたが、まさにその通りの光景で、見ていた職員は皆絶句し、あまりの光景に2頭を引き離すのを忘れてしまいました。


2頭はかなり体格差があり、1,560gと1,020gでした。名前が決まるまで大きい方をダイ(仮)、小さい方をショウ(仮)と呼ぶことにしました。

右がショウ 左がダイ
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エナの手術は無事終了しましたが、だいぶ疲労が見られます。

また今後、子ども達をどうするかが問題です。
今晩はエナと子ども達の様態がまだはっきりしないことと、双方の麻酔から醒めるタイミングの問題により、とりあえず別々に様子を見ることにしました。

子ども同士も一緒にするとすぐ激しい闘争になるので別々です。

陣痛はまだか 8月16日

エナは更に食欲が低下しエサをほとんど食べません。


乳汁が出てきており、しんどそうで寝ていることが多いのですが、陣痛がまだ来ません。

トーフの時はエサを食べなくなり、乳汁が出だしてから2日で出産しています。2回目なので前回よりむしろ早くなるかと思っていたのですが・・・心配です。

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来てます来てます! 8月12日

トーフの日記でお伝えした4月25日の交尾でエナは妊娠していました。


8月13日を予定日としており、8月12日からエナがエサを残すようになったので展示を中止しました。いよいよです。
トーフの時はわからなかった胎動も確認できます。これがなかなか・・・なんと言いますか・・・気持ちが悪い。

エナが横になると明らかに子ども頭だと分かるものがお腹の中でグネングネンと動きまくります。
しかしおかげで妊娠していることは確信できました。

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